Classici giapponesi con furigana
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いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
Leggi いなか、の、じけん di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.535 caratteri · 78 schermate
途中で寒さ凌ぎに一パイ飲んで、夕方になって、やっと自宅へ帰りついた文作は着のみ着のまま、物も云わずに、蒲団を冠って寝てしまった。難産のあとの血の道で、お医者に見放されてブラブラしている女房が心配して、どうしたのかと、いろいろに聞いても返事もせずにグーグー鼾をかいていたが、やがて夜中過ぎになると文作は、女房の寝息を窺いながらソーッと起き上って、裏口から、西側の軒下にまわった。そこに積んであった薪を片づけて、分捕りスコップ(日露戦役戦利払下品)を取り上げると、氷のような満月の光を便りに、物音を忍ばせてセッセと掘り初めたが、鍬と違って骨が折れるばかりでなく、土が馬鹿に固くて、三尺ばかり掘り下げるうちに二の腕がシビレて来たので、文作はホッと一息して腰を伸ばした。
するとその時に、今まで気がつかなかったが、最初に掘り返した下積みの土の端っこに、何やら白いものが二ツ三ツコロコロと混っているのが見えた。文作はそれを、何の気もなく月あかりに抓み出しながら、泥を払い落してみると、それは魚よりすこし大きい位の背骨の一部だったので、文作は身体中の血が一時に凍ったようにドキンとした。