Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おばなさわ

おばな沢

山本 周五郎

Leggi おばな沢 (おばなさわ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.479 caratteri · 45 schermate

Aozora Bunko

尾花沢からは定期的に城へ連絡があるらしい。英之助の手紙は、そのとき使いの者が届けるので、ときには山の珍しい花なども添えてよこした。

「むかしから、戸田にはそういうところがあった、少しいやみだね」

兄の泰馬が、いちどその花を見てこう云った。そばにいた母が不審そうに、いつものおっとりした口ぶりで、

「いやみなことはありませんよ、節子はまだ病人で寝たり起きたりしているんですもの、戸田さんがおみまいに花を下さるのはあたりまえじゃないの」

「それにはそれでやりかたがあるんですよ、しかし、……まあいいでしょう」

「お兄さまの仰しゃりたいことは、節子にはよくわかっていますわ」

節子はわきを見ながら云った。

「――お兄さまはこの花の贈りぬしがお気にいらないのよ、これが戸田さまでなく、べつの方ならそんなふうには仰しゃらないでしょう」

泰馬はこっちを見た。へんにむきな眼つきであったが、そのまま気を悪くしたように立っていった。暢気な母はかくべつなにも感じないらしかった、けれども節子は神経が苛いらし、自分の顔が硬ばってくるのが自分でわかった。

兄は英之助を嫌っていた。節子はそう思っていなかったが、戸田との縁談がきまってから、そのことがはっきりしだした。