Classici giapponesi con furigana
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おりつとこらと
お律と子等と
Leggi お律と子等と (おりつとこらと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.195 caratteri · 51 schermate
「やっぱりお肚が痛むんでねえ。――熱もまだ九度からあるんだとさ。」
叔母は易者の手紙をひろげたなり、神山と入れ違いに来た女中の美津と、茶を入れる仕度に忙しかった。
「あら、だって電話じゃ、昨日より大変好さそうだったじゃありませんか? もっとも私は出なかったんですけれど、――誰? 今日電話をかけたのは。――洋ちゃん?」
「いいえ、僕じゃない。神山さんじゃないか?」
「さようでございます。」
これは美津が茶を勧めながら、そっとつけ加えた言葉だった。
「神山さん?」
お絹ははすはに顔をしかめて、長火鉢の側へすり寄った。
「何だねえ。そんな顔をして。――お前さんの所はみんな御達者かえ?」
「ええ、おかげ様で、――叔母さんの所でも皆さん御丈夫ですか?」
そんな対話を聞きながら、巻煙草を啣えた洋一は、ぼんやり柱暦を眺めていた。中学を卒業して以来、彼には何日と云う記憶はあっても、何曜日かは終始忘れている。――それがふと彼の心に、寂しい気もちを与えたのだった。その上もう一月すると、ほとんど受ける気のしない入学試験がやって来る。入学試験に及第しなかったら、………
「美津がこの頃は、大へん女ぶりを上げたわね。