Classici giapponesi con furigana
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
Leggi すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.378 caratteri · 88 schermate
「おそかったでしょう。気に入らないんだもの、母さんの結った髪なんぞ。」と馳け出したために殊更ほつれた鬢を直しながら、「おかしいでしょう。」
長吉はただ眼を円くしてお糸の顔を見るばかりである。いつもと変りのない元気のいいはしゃぎ切った様子がこの場合むしろ憎らしく思われた。遠い下町に行って芸者になってしまうのが少しも悲しくないのかと長吉はいいたい事も胸一ぱいになって口には出ない。お糸は河水を照す玉のような月の光にも一向気のつかない様子で、
「早く行こうよ。私お金持ちだよ。今夜は。仲店でお土産を買って行くんだから。」とすたすた歩きだす。
「明日、きっと帰るか。」長吉は吃るようにしていい切った。
「明日帰らなければ、明後日の朝はきっと帰って来てよ。不断着だの、いろんなもの持って行かなくっちゃならないから。」
待乳山の麓を聖天町の方へ出ようと細い路地をぬけた。
「何故黙ってるのよ。どうしたの。」
「明後日帰って来てそれからまたあっちへ去ってしまうんだろう。え。お糸ちゃんはもうそれなり向うの人になっちまうんだろう。もう僕とは会えないんだろう。」
「ちょいちょい遊びに帰って来るわ。