Classici giapponesi con furigana
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
Leggi すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.378 caratteri · 88 schermate
赤いてがらは腰をかけ、両袖と福紗包を膝の上にのせて、
「校友会はどうしちまったんでしょう、この頃はさっぱり会費も取りに来ないんですよ。」
「藤村さんも、おいそがしいんですよ、きっと。何しろ、あれだけのお店ですからね。」
「お宅さまでは皆さまおかわりも……。」
「は、ありがとう。」
「どちらまでいらッしゃいますの、私はもう、すぐそこで下りますの。」
「新富町ですか。わたくしは……。」
いいかけた処へ車掌が順送りに賃銭を取りに来た。赤いてがらの細君は帯の間から塩瀬の小い紙入を出して、あざやかな発音で静かに、
「のりかえ、ふかがわ。」
「茅場町でおのりかえ。」と車掌が地方訛りで蛇足を加えた。
真直な往来の両側には、意気な格子戸、板塀つづき、磨がらすの軒燈さてはまた霜よけした松の枝越し、二階の欄干に黄八丈に手拭地の浴衣をかさねた褞袍を干した家もある。行書で太く書いた「鳥」「蒲焼」なぞの行燈があちらこちらに見える。忽ち左右がぱッと明く開けて電車は一条の橋へと登りかけた。
左の方に同じような木造の橋が浮いている。見下すと河岸の石垣は直線に伸びてやがて正しい角度に曲っている。