Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ほととぎす

ほととぎす

堀 辰雄

Leggi ほととぎす di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.252 caratteri · 60 schermate

Aozora Bunko

そんな気にも私はどうかするとなり兼ねないのだった。……

そういう一抹の不安のないこともない私に、道綱が何かそわそわとして黙って一通の文を届けてくれたのは、丁度きのうの事である。まあ、おめずらしい、殿の、と思ったら、それは思いがけず頭の君のだった。しかし、道綱の手前、何気なさそうにして手にとって見ると、「本当にわれながら浅ましい姿になり果てました。いくら心にもないことだと私が申しましても、お聞き入れにはなさいますまい。こんなどうしようもない羽目にならない先きに、どうしてもう一度なりとあなた様のお目にかかってしみじみとお語らいしなかったのだろうと、悔やまれてなりませぬ。――」

そのあとに何やら歌のようなものが書かれてあって、その上が墨で消されてあった。私はその一部分を辛うじて判読した。「……をしむはきみが名……」

私はつとめて冷めたい顔をしたまま、その紙を徐かに巻き出していた。道綱は私の前に据わったまま、別にその文を見たくもなさそうにしていた。そしてしばらく、二人は何んとも言わずにいた。しかし、そのながい沈黙は、私にとっては、何か心いちめんに張りつめていた薄氷がひとりでに干われるような、うすら寒い、なんとも云えず切ない気もちのするものだった。