Classici giapponesi con furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Leggi みなかみ紀行 (みなかみきこう) di 若山 牧水 (わかやまぼくすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.087 caratteri · 203 schermate
膠のような、そして実に強い力を持った水の筋は滑かに冷かく私の病み痩せた両脛を押したくって流れてゆく。私は手近の石の頭につかまって一生懸命に身体を支えていねばならなかった。
押し流される様にして二三間下へ下って行った。其処はもう壺の様な淵である。瀬から上って淵の頭の岩の蔭に私は腰をおろした。前も岩、うしろも岩、左は淵、右は短い激しい瀬、見上ぐれば蒼い空にさし出て両岸の樹木が茂っている。
切り立った様な両岸の岩はみなふところ深く刳れている。そしてその刳れた所に模型地図の山脈などに見る幾つかの高まりが縦横に岩面を走っているのである。前を見、うしろを見して私は思った。此辺一帯が火山岩とか火山何岩とかいう軟かな岩質で――というよりか富士の噴火のあとのまだ硬まらぬ上を水が流れて斯う細く深く刳ったものであろうと。そして宿の前に滝を懸けた断崖なども溶岩の流れの毛すじほどの皺に相違なかろうと。そう思うと裾野一帯のだだっ広い平野の中に、普通に見ては眼につかぬほどの自分一人の窪みを作ってひそかに流れている此処等の渓がいじらしくもまた滑稽にも考え出されて来た。
立てば頭のつかえる岩蔭に坐った私に気づかぬのであろう、眼の前の石に鶺鴒がとんで来た。