Classici giapponesi con furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Leggi みなかみ紀行 (みなかみきこう) di 若山 牧水 (わかやまぼくすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.087 caratteri · 203 schermate
頻りに尾を振って、石から石へと移っている。脚のほそさ、糞を落す微妙さ、そして其処に一羽の友が飛んで来ると一緒にくるくるところがる様にまって行った。鶺鴒を見ていた私の眼は、其処にまた一つの小さな生物を見出した。うす黒い岩にぴったりとしがみついた蛙である。痩せに痩せて、そして岩と全く同じい色あいの、果物の皮の落ち散っている様な平たい蛙である。多分河鹿であろうと思うが、それにしてはやや大きい様にも見ゆる。これは水際の泡にまい寄る細かな羽虫を覗っているのだ。そう見ると眼と口とは生き生きとした矢張まがいのない生物である。おりおり水に飛んだ。そして円みを作って拗れながら流れている激しい水の中を眼にもとまらず敏捷に泳ぎ渡る。
淵ではおりおり魚が飛んだ。ぴしょん、ぴたりと云うかすかな冷たい音が、岩の蔭から蔭へ伝わる。淵の上からは蜩の声が雨の様に落ちているのであった。その中に法師蝉の夕日づいた澄んだ声も混っていた。
景が島を去って田圃に出ると、矢張り裾野のみが持つ風景の広さ大きさがしみじみと感ぜられた。下るともなく下り行った傾斜の遥かな四方には夕方の低い雲の波が起って、近い山、遠い山脈をうす黒く浮ばせている。