Classici giapponesi con furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Leggi みなかみ紀行 (みなかみきこう) di 若山 牧水 (わかやまぼくすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.087 caratteri · 203 schermate
どうも今朝五時頃に裾野に靡いていた雲で見ると私は東南風らしいと見たがという人が居ると、イヤ、あれは確かに西風だ、今こそ斯う不気味に凪いでいるがやがてこれが月の落ちぐちにでもなったらどっと吹いて来ましょうよという老人もある。この老人の言葉に私は狭苦しい席に身体をねじ向けて空を探すと、なるほどくっきりと澄んだ沖近くに二十日頃の有明月が寂しく懸っているのであった。
戸田近く、汽船は断崖にひたひたと沿うて走る。切りそいだ崖の根がたにどばんどばんと浪の打ちあげている所もあり、またその根に狭く荒い石原があってそれに白々と寄せている所もある。崖の上は大抵一面に枯れ果てた萱山で、海岸沿いに電信柱が一列遠く連っているのが見ゆる。一昨日この辺も降ったらしく、雪が斑らにその山のいただきに残って居る。浪の色は深い紺碧、風は無くても船はいい加減に揺れて居る。
戸田の港を出た後から先刻の老人の予言が力を表して来た。煙筒や帆柱に風のうなりが起る様になると、船は前後に烈しく揺れ始めた。私は幸に身体を凭せ懸ける所を持っていたのでよかったが、そうでない人々は坐りながらに前後にずり動かされねばならなかった。