Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わかむらさき

わか紫

泉 鏡花

Leggi わか紫 (わかむらさき) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.708 caratteri · 75 schermate

Aozora Bunko

もう方々でも鎮まって、かれこれ盗られたものの気の附く時分なんだけれど、騒ぎがあんまり酷かったから、まだ皆心が落着かないでいるんだよ。

もう今に知れます。そうすると、直にまた番頭が遣って来ます、何だか、私は、お前が何だか。」

とみこうみたる目の優しさ。

「可哀相でならないから、委しく、いろんな話を聞いてみたいけれど、そんな、悠長な間はないんだもの。そうでもない、旦那が蒸湯から、帰っていらっしゃらないとも限りませんから、また逢える事もありましょう。さあ、今の中。

おお、そうして何かい、その手帳と、鉛筆なの。その人が呉れたというのは、」

「ええ。」

両手を支いたまま、がッくりと頷くと、糸を引いて、ばたりと畳へ、衾にかくれて取乱した、衣紋をこぼれてはらりと開く。

これ見てといわぬばかり、

「奥様。」

と悄れていう。

何心なく取ろうとして、思わず背後へ手を退いた。

「まあ、気味の悪いこと。」

お鶴は屹と顔を上げて、清い瞳に怨を籠め、

「ちっとも、あの汚いことはありません、私、いつもこの胸の処に持っております。」と判然いうのと顔を合わせた。

あわれ、何しに御身の膚に汚るべき。