Classici giapponesi con furigana
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われらのいえ
われらの家
宮本 百合子
Leggi われらの家 (われらのいえ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2887 caratteri · 6 schermate
「――出来たらね
泰子は、一年振りで、又北陸の田舎を見られる事を相当に楽しみにして居た。
けれども、三月が押しつまって、出立の日が近づくに従って、始めの息込みが無く成った。
「私、行った方がいいか、行かない方がいいか随分疑問よ、そうお思いにならなくて? 行き度いことは行きたいけれども……ほら、ね? あれがあるでしょう
そう云い乍ら、泰子は、小さい自分の勉強部屋を顧みた。
机の上には、書きかけの原稿が散かって居る。もう久しい以前から手をつけて居るものを、彼女は、六月末までに纏めたいと希って居た。新らしい家庭生活が始ってから、まだ一年に成るや成らずの彼女は、主婦としても、妻としても、種々な「最初のもの」に余り多く接して、殆ど心の落付く暇が無くかった。その為に、仕事は、自ら愧るほど捗取って居ないのである。
行こうか行くまいかと迷った揚句、泰子は到頭
「私、今度は止めましょう、そして少しでも遣りますわ
と云った。
「其もいいかもしれない。夏に行けるんだから……然し、一人では居られますまい。如何うする? 林町へ行くか……行ったら又お母様とお喋りで駄目だろう
「まあ、真逆毎日喋り続けては居ないことよ