Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
しかも大ていの場合主役を演めていた清水は、決して彼自身が謙遜して言う程有名でない役者ではなかったのだから……
『坊城君が大変熱心にあなたをおすすめしてくれたものでしたから――それに僕にしたって並の依頼事件とは少し違うんだしなるべくならやっぱり気心のよく知れた方がいいと思いまして……』と言って清水はふと暗い眼つきをした。
『オヤオヤ、では離婚訴訟じゃァなかったのですね。僕ァまたてっきりそうだと思ったんですが…』
『恐れ入ります。尤もあまり違わないかも知れません。どっち道、縁切り話には相違ないのですから――しかし、同じ縁切りでも、いや縁切られですよ――こいつァ、つまりこの世との縁切られ話なのです。はッはッはッ。』
『はッはッはッ――』西村も清水も共に陽気な笑声を立てた。
『閻魔の庁で公事を起こそうってわけですね。』
『いいえ。けれども、冗談ではないのです。西村さん! 僕は遺言状を作成して頂きたいのです。』清水の声音は本当に真面目であった。
そうして再びその眼にはふいと暗い影がさした。
『え? 何だって! 清水君! 遺言状だって? ――これァまた途方もない。君は何か、そんな危険な活劇物でも撮ろうって云うのですか――だが、それにしてもちっと可笑しいじゃありませんか。