Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
葛飾は自分故に愛しい女が殺人の罪を犯したものと信じて、犯跡を紛らすために床に落ちていたピストルを死人の手に持たせる。……これとあべこべに葛飾が犯人である場合も同様だ。わけて、葛飾が一晩中家を明けていたことや、取乱した服装や、そんなことは何れも夫婦喧嘩のせいだとは云うものの、同時にもっと悪い事実を裏書きしていないとも限らない。……併し、この想像は少しばかり甘すぎるかな。自分で罪を犯しておきながら、かまえて訝しまれるような態度をとり繕わずにいると云うことは洵に道理に合わない。やはり女に対する疑を――若しも運悪く他殺と知れた時に、女に懸かる疑惑を出来るだけ外らそうとするための工夫なのであろうか?……うっかりしてはいられないぞ。――と。
若いこの刑事は上役や同僚を出し抜き度い功名心で胸をふくらませた。
刑事は警察へ帰ると早速ピストルに就いて検べた。
柄の底の部分に僅ばかり白い粉がついている。刑事は会心の笑を洩らした。
(――犯人が最初に投げ棄てた拍子にあの壁へぶつかったのだ)
それから指紋である。最近二人の人間がそれを掴んだらしかった。
(もちろん被害者自身と――鮮明な方が犯人だ)