Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
思うに天のアフロバイテを讃える恋の勝負は造化主の意思の外にあるのであろう。神さまは、ただ十文半の黄皮の短靴の左足は十文半の黄皮の短靴の右足こそ応わしけれ、と思し召すだけに違いない。
男と女。男と女。――たった二種類しかない人間が、何故せつない恋に身を焦がしたりしなければならぬのであろうか?
*
Y君が片恋をした。
相手は比の頃、ベルクナルにも劣るまいと評判の高い活動写真の悲劇女優である。
それに引きかえてY君は、第三十騎兵連隊勤務の一等安手の下士官の身分に過ぎないのだから、この恋に到底望みのなさそうなことを杞虞する程の己惚れさえも持ち合わせない。はじめは当り前のファンで、週末の休み日毎に、たとい二度三度見直す同じ狂言であろうとも、きまって彼女の出る映画ばかりを漁っている中に、だんだん彼女の何時も深い愁しみに隈どられた面輪が、頭の中のスクリインに大写しのようにいっぱいに映ったまま消えなくなったのである。
こんな身の程を弁えぬ恋をしてしまったことは、容易ならぬ不幸せだ――とY君は考えた。一生、ひそかに恋わたっているだけのことで、それでもいいのだろうか?