Classici giapponesi con furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Leggi アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) di 渡辺 温 (わたなべおん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.168 caratteri · 267 schermate
」と云った。そしてまたすたすたと、連なる並木の蔭へ吸い込まれて行った。
私は茫然と立ちつくすのみであった。
――男は髭を生やさなければ、ほんとうの値打が現われないものであろうか?」
だが、その次にふと私は、頭の中に今頃は何処かの四辻に立って、草花を売っているに違いない、姉のしなびた醜い顔を思い浮かべて、またしても泪に暮れた。
――可哀相な姉よ!
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――姉さん、どうしたのです?」
姉は、さも憎々しげに私を睨みつけながらうなずいていた。
――オマエ、ヒゲヲ、ハヤス、ツモリカエ?」
――だって、僕はもう大人になったのですから生やしたいのです。」
――オトナハ、ワタシ、キライダ!」
――そんなことを云ったって、無理ですよ。僕は大人になって、姉さんを広い家に住まわせて、仕合せにして上げようと思うのです。」
――イイヨ。カッテニ、スルガイイ。ワタシハ、アノクスリヲノムカラ!」
――薬ですって?」
姉は首を横に振って、机の上の黒い本を開いて見せた。
――ダイナマイトは、また、食べることも出来ます。」
私は姉のザラザラな粗悪な壁土のような頬に接吻した。
私はそして、姉の見ている前で、剃刀を研いで、うっすらと生えかかって来た髭を剃り落としてしまったのだ。