Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.043 caratteri · 56 schermate
『社交室』でのワニ君たちの話や猪股氏との婚約と、この囈言を思い合わせると、今まで少しも気がつかなかったいろいろ複雑な事情がすこしずつのみこめてくる。
キャラコさんは、思わず、ためいきをつく。
「マキちゃんは、やっぱり秋作氏を愛していたんだわ」
秋作氏が『黒いお嬢さん』と二人でこのホテルへやって来てから、急に猪股氏に辛くあたり出したことも、酔って帰って来た夜の食堂での狂態も、さもあるべきいちいちの意味がよくわかる。昨年の秋、秋作氏の求婚にたいして、あなた、貧乏だから、いや、と、にべもない返事をしたのは、決して本心ではなかったのだ。何もかもあきらめて、進んで自分を『糶』に出したのにちがいない。
自分本意で、骨の髄まで浅薄な娘だとばかり思っていた槇子の胸に、こんなしおらしいたましいがひそんでいたということは、キャラコさんにとっては意外だった。意地っぱりで、一旦こうと決心したら容易く自己を表わさない冷静な槇子が、自分の心をのぞかれるようなあんな狂態を演じたのを見ても、槇子がどんなに苦しんでいたかよくわかる。それを察してあげることができなかったのは、やはり、じぶんが未熟だからに相違ない。