Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
候文ですから感情が露骨でなく、紋切型の文体ですが、その要旨は、この家を売却したい意向を陳は持っている、売価は事情が事情であるから十万円とする、向う三十日以内に支払って貰いたい、もし支払い能力がなければ立退きを要求する、但し立退き費として一人宛一万円程度を支払う、以上のようなことです。僕は愕然とし、また茫然として部屋中をぐるぐる歩き廻った。また新しい災厄がふりかかって来たわけです。手紙の末尾には、家の買い手は僕ら二人でもいいし、どちらかの一人でもいいと書いてある。ぐるぐる歩き廻りながら僕は考えました。野呂の奴もこれにはビックリするだろう。また今夜あたりあいつは、神も仏もないものかと泣きわめくだろうな。
ところが夕方、戻って来た野呂に速達を見せたのですが、期待に反して別にわめきもせず、髪をかきむしることもしない。割に平然とそれを読み終って言いました。
「そうか。そんなことか。じゃあ僕が買うことにしよう」
その一言がぐっと僕のカンにさわった。
「買うことにしようって、何もこの手紙は君一人宛てに来たんじゃないんだぜ」
「そりゃそうだよ。でも君は初めから間借人なんだから、家を買う気持はないんだろ?」