Classici giapponesi con furigana
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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
Leggi 一寸法師 (いっすんぼうし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 96.475 caratteri · 194 schermate
百合枝は、思わず低い叫びを上げて、それを振り離そうとした。だが、思い込んだ男の手は、黐の様にねばり強くて、容易に離れなかった。離れないばかりか、段々強い力で彼女のきゃしゃな指を締めつけて行った。
それと同時に妙な音が聞え始めた。百合枝は最初、男が咳をしているのかと思った。コホン、コホンと烈しく喉が鳴った。だが、間もなくそれが鼻をすする音に変り、そして、不意にククククククククククと、むせ返る様な声が起った。男が泣き出していたのだ。彼は百合枝の手先を締めつけ締めつけ、彼女の腕にポタポタと涙を落して、気でも狂った様に泣き続けた。
百合枝は男の激情に引入れられて、彼女もいつの間にか、不思議な興奮を覚えながら、片手を男のなすがままに任せて、黙って彼の泣き声を聞いていた。手の上に雨の様に降りかかる涙の感触が、彼女の恐怖を少しずつやわらげて行った。
「百合枝さん、百合枝さん」
男は泣きじゃくりの間々に、幾度となく彼女の名を呼んだ。そして、彼の一方の手は、大きな昆虫の様に、五本の足で百合枝の全身をはい歩いた。膝から帯を越し、むずがゆく乳の上をはって、なだらかな肩をすべり、背筋のくぼみを、あやす様になで廻した。