Classici giapponesi con furigana
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さんしろう
三四郎
Leggi 三四郎 (さんしろう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.765 caratteri · 343 schermate
しばらくすると、奥の家で、なんだか騒ぎ出した。三四郎は主人が帰ったんだなと覚った。やがて土手の下ががやがやする。それが済むとまた静かになる。ほとんど堪え難いほどの静かさであった。
三四郎の目の前には、ありありとさっきの女の顔が見える。その顔と「ああああ……」と言った力のない声と、その二つの奥に潜んでおるべきはずの無残な運命とを、継ぎ合わして考えてみると、人生という丈夫そうな命の根が、知らぬまに、ゆるんで、いつでも暗闇へ浮き出してゆきそうに思われる。三四郎は欲も得もいらないほどこわかった。ただごうという一瞬間である。そのまえまではたしかに生きていたに違いない。
三四郎はこの時ふと汽車で水蜜桃をくれた男が、あぶないあぶない、気をつけないとあぶない、と言ったことを思い出した。あぶないあぶないと言いながら、あの男はいやにおちついていた。つまりあぶないあぶないと言いうるほどに、自分はあぶなくない地位に立っていれば、あんな男にもなれるだろう。世の中にいて、世の中を傍観している人はここに面白味があるかもしれない。どうもあの水蜜桃の食いぐあいから、青木堂で茶を飲んでは煙草を吸い、煙草を吸っては茶を飲んで、じっと正面を見ていた様子は、まさにこの種の人物である。