Classici giapponesi con furigana
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いせのまき
伊勢之巻
泉 鏡花
Leggi 伊勢之巻 (いせのまき) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.617 caratteri · 35 schermate
」と、穏ならぬ気色である。
夫人、するりと膝をずらして、後へ身を引き、座蒲団の外へ手の指を反して支くと、膝を辷った桃色の絹のはんけちが、褄の折端へはらりと溢れた。
「厭だよ、串戯ではないよ、穿物がないんだって。」
「御意にござりまする。」
「おかしいねえ。」と眉をひそめた。夫人の顔は、コオトをかけた衣裄の中に眉暗く、洋燈の光の隈あるあたりへ、魔のかげがさしたよう、円髷の高いのも艶々として、そこに人が居そうな気勢である。
畳から、手をもぎ放すがごとくにして、身を開いて番頭、固くなって一呼吸つき、
「で、ござりまするなあ。」
「お前、そういえば先刻、ああいって来たもんだから、今にその人が見えるだろうと、火鉢の火なんぞ、突ついていると、何なの、しばらくすると、今の姐さんが、ばたばた来たの。次の室のそこへちらりと姿を見せたっけ、私はお客が来たと思って、言をかけようとする内に、直ぐ忙しそうに出て行って、今度来た時には、突然、お支度はって、お聞きだから、変だと思って、誰も来やしないものを。」とさも訝しげに、番頭の顔を熟と見ていう。
いよいよ、きょとつき、
「はてさて、いやどうも何でござりまして、ええ、廊下を急足にすたすたお通んなすったと申して、成程、跫音がしなかったなぞと、女は申しますが、それは早や、気のせいでござりましょう。