Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いせのまき

伊勢之巻

泉 鏡花

Leggi 伊勢之巻 (いせのまき) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.617 caratteri · 35 schermate

Aozora Bunko

二

「お燗を直しましょうでござりますか。」

顔を覗き込むがごとくに土間に立った、物腰のしとやかな、婆々は、客の胸のあたりへその白髪頭を差出したので、面を背けるようにして、客は外の方を視めると、店頭の釜に突込んで諸白の燗をする、大きな白丁の、中が少くなったが斜めに浮いて見える、上なる天井から、むッくりと垂れて、一つ、くるりと巻いたのは、蛸の脚、夜の色濃かに、寒さに凍てたか、いぼが蒼い。

二

涼しい瞳を動かしたが、中折の帽の庇の下から透して見た趣で、

「あれをちっとばかりくれないか。」と言ってまた面を背けた。

深切な婆々は、膝のあたりに手を組んで、客の前に屈めていた腰を伸して、指された章魚を見上げ、

「旦那様、召上りますのでござりますか。」

「ああ、そして、もう酒は沢山だから、お飯にしよう。」

「はいはい、……」

身を起して背向になったが、庖丁を取出すでもなく、縁台の彼方の三畳ばかりの住居へ戻って、薄い座蒲団の傍に、散ばったように差置いた、煙草の箱と長煙管。

片手でちょっと衣紋を直して、さて立ちながら一服吸いつけ、

「旦那え。」

「何だ。」

「もう、お無駄でござりまするからお止しなさりまし、第一あれは余り新しゅうないのでござります。