Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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むいかづき

六日月

岩本 素白

Leggi 六日月 (むいかづき) di 岩本 素白 (いわもとそはく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2584 caratteri · 5 schermate

Aozora Bunko

もない静けさである。先刻この下の通りでは、薗八でも弾いて貰いたいと思ったが、此処ではそれさえ派手に過ぎよう。妙な事をいい出すようであるが、此の京都の町の古い家などによくある、ふちを象牙で飾ったりした重々しい古琴の、その割に一向音の冴えない、何かかたくなな女のような感じのする琴があるものだが、そういう楽器で、名手の割に余り世にも持て囃されない検校さんに、「残月」の緩やかな手のところでも弾いて貰ったら、或は調和するかも知れない。

そんな詰らぬことを考えながら歩いて行くと、道一杯を挟んで扉の無い古い門が立って居る。ここは今まで度々通りながら、何時も気にして居なかったが、これは一体どこの門なのであろうと、折柄来かかった此の辺りの人らしい年寄に聞いて見る。薄暗い中で余り突然なのに少し驚いた形ではあったが、別にこちらを怪しむ風もなく、高台寺さんの門だと言い棄てて行き過ぎる。此の辺はもと一帯に寺の境内であったのであろう。此の門の辺り、虫の声が殊に激しい。じっと其の声に聞き入りながら、もう大分移った六日月の影を眼で追って、私は始めて今日一日の騒がしい行動の償いをなし得たと思った。