Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜんきてんまやけ

前記天満焼

国枝 史郎

Leggi 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.568 caratteri · 98 schermate

Aozora Bunko

「素晴らしいなあ」と岡引の松吉は、心から感嘆したように、ドカリと草の間へ胡座を掻くと、

「ゆっくり話をいたしましょう」

「へい、それでは」と上州という乞食も、並んで側へ腰を下ろしたが、しばらく物を云わなかった。

二人ながら黙っているのである。

いぜんとして耕地には人影がなく、ひっそりとして物寂しく、日ばかりが野面を照らしている。

と、一所影が射した。雲が渡って行ったのだろう。

都――わけても両国の空は、ドンよりとして煙っている。

砂塵が上っているのだろう。

乞食はそっちを見ていたが、ふっとばかりに呟いた。

「今夜あたり起こるでございましょうよ。恐ろしい恐ろしい騒動が」

「ほほう」と云ったものの松吉は、どういう意味だか解らなかった。

「何が起こると有仰るので!」

丁寧な言葉で訊き出した。

「私は乞食でございますよ」

「まあね、そりゃア、そうかも知れない。……それがどうしたと仰有るので?」

「で、江戸中をほっついています」

「私の商売と似ていまさあ」

「私の方がもっともっと、露地や裏店に縁故があります」

「そうして私にゃア悪党がね」

「どっちみち浮世の底の方に、縁故があるというもので」