Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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クルスかんのん

十字架観音

野村 胡堂

Leggi 十字架観音 (クルスかんのん) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.655 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

遠い国で起っているような騒ぎが、自分の身の上に関ることと漸く気がついたのです。

「あ、お秋」

「お嬢様、私が悪うございました、訴人をしてお嬢様を縛らせたのは、余吾之介様を独り占にしたいばかりの私の悪企み、今日は余所ながら処刑を見物する積りで、竹矢来の外から悪魔外道の眼を光らせていた浅ましい私でございます。シモン遠藤様の御話を聴いた上、五十人の宗門の方の、観念したお姿を拝見して、すっかり迷いの夢が醒めました。十年前には私も、エロニモ様北国御巡錫のとき、教を承って帰依したことがございます。お嬢様には、生き存らえて遊ばさなければならぬ御仕事がある筈、私は御同宗の方々と焼かれて、重い罪を償います、サンタ・マリ」

お秋はふり落ちる涙を払いもあえず、磔柱の上の鹿の子をふり仰いで口説き立てるのでした。

「お秋、お秋、それは違います」

「いえいえ、私が切支丹に相違ございません。お役人様、聴いて下さい。私は醜い怨みのために、このお嬢さんを訴人しました。本人の私が申すことに何んの間違いがありましょう、此処には現に、私の訴人を受けた旦那方もいらっしゃる筈」

「お秋、私は何んにも怨んではいない、静かに召され――」