Classici giapponesi con furigana
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クルスかんのん
十字架観音
野村 胡堂
Leggi 十字架観音 (クルスかんのん) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.655 caratteri · 27 schermate
四
「何? お秋が何うした」
余吾之介が格子から顔を出すと、外は冷たい月、人間の片らも見えません。
「どうしたのでしょう」
おろおろする鹿の子を押し退けるように、余吾之介は両刀を手挟むと、雪駄を爪先探りに、パッと飛びだします。
「鹿の子、往って来るぞ」
「あ、もし」
「心配するな、後を頼む」
疾風のように男の姿は月の隈へ溶けこんでしまいました。
元和九年十一月二十四日、イタリー人エロニモ師や、嘗ては千五百石を食んだ家康の小姓、ヨハネ原主水の党類を漁り尽すに、町奉行米津勘兵衛以下血眼になっておる時のことでした。
四
「己れッ」
飛込んだ松根余吾之介、一刀の背を返して、あッという間に二三人叩き伏せました。
「な、何をしやあがる」
囲みは自然に解けて、五六人の荒くれ男、手拭や風呂敷で面体を包んだのが、棍棒、匕首を閃めかして、三方から競いかかりました。
「無礼者ッ」
続けさまにもう一人二人、元より斬って捨てるほどの相手ではありません。キナ臭くなるように背打を喰わせ、手近なのは、小手を取ってもんどり打たせると相手は、
「それッ」
妙な合図を残して、蜘蛛の子を散らすように、逃げうせてしまいました。