Classici giapponesi con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate
この草の上の酒盛の前を、時々若い女の連が通った。草刈に行く人達だ。
B君の友達は思出したように、
「君とここで鉄砲打ちに来て、半日飲んでいたっけナ」
と言うと、B君も同じように洋行以前のことを思出したらしい調子で、
「もう五年前だ――」
と答えた。B君は写生帳を取出して、灰色なドロ柳の幹、風に動くそのやわらかい若葉などを写し写し話した。一寸散歩に出るにも、この画家は写生帳を離さなかった。
翌日は、私はB君と二人ぎりで、烏帽子ヶ岳の麓を指して出掛けた。私が牧場のことを尋ねたら、B君も写生かたがた一緒に行こうと言出したので、到頭私は一晩厄介に成った。尤も、この村から牧場のあるところへは、更に一里半ばかり上らなければ成らない。案内なしに、私などの行かれる場処では無かった。
夏山――山鶺鴒――こういう言葉を聞いただけでも、君は私達の進んで行く山道を想像するだろう。「のっぺい」と称する土は乾いていて灰のよう。それを踏んで雑木林の間にある一条の細道を分けて行くと、黄勝なすずしい若葉のかげで、私達は旅の商人に逢った。
更に山深く進んだ。山鳩なぞが啼いていた。B君は歩きながら飛騨の旅の話を始めて、十一という鳥を聞いた時の淋しかったことを言出した。