Classici giapponesi con furigana
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また、いえ
又、家
宮本 百合子
Leggi 又、家 (また、いえ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6120 caratteri · 13 schermate
彼方此方歩いて居るうちに、先ず樹木のあるのが私を悦ばせ始めた。屋根は仮令トタン葺きでも、家全体が古物でも、眺め、自然を感じる植物の多いのはよい。内部は、翌日の午後でなければ見られないことになって居た。
「どう?」
自分は、手を入れて低く仕立てた八つ手の傍に立ってAに訊いた。
「どうだね?」
彼が反問した。
「随分ひどいらしいけれども――樹だけはいいわね」
「手を入れればよくなるさ。どうせ、そう万事よいと云う処はない。第一此処からだと、学校までたった二三分で行けるもの――」
「――きめましょうか?」
彼は、又、ぶらぶらと四辺を歩いた。
「――定めたらどうだね、明日内部を見て。」
私も、知らず知らずもう一度大体の模様を見た。気が付かなかったが、表の建仁寺の処には、蔦が房々とまといついて居る。
「――定めましょうか」
「そうしよう。ね。家のこまこました処はいくらでも追々なおせるもの、あっちから見たら、樹の多い丈でも幾何いいか知れやしない。」
他にも、懇望して居る人があると云うので、Aは気が気でないらしく見えた。全く位置を云えば、又と此位近所に見当ろうとは思えない。
彼は、その晩も、牛込まで行った。