Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こてんふう

古典風

太宰 治

Leggi 古典風 (こてんふう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.400 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

昨夜の酔が、まだそのままに残っていた。口をきくのも、物憂かった。女の子には見覚えがあった。このごろ新しく雇いいれたわが家の下婢に相違なかった。名前は、記憶してなかった。

ぼんやり下婢の様を見ているうちに、むしゃくしゃして来た。

「何をしているのだ。」うす汚い気さえしたのである。

女の子は、ふっと顔を挙げた。真蒼である。頬のあたりが異様な緊張で、ひきつってゆがんでいた。醜い顔ではなかったが、それでも、何だか、みじめな生き物の感じで、美濃は軽い憤怒を覚えた。

「ばかなやつだ。」と意味なく叱咤した。

「あたし、」下婢は再びうなだれ、震え声で言った。「十郎様を、いけないお方だとばかり存じていました。」そこまで言って、くたくた坐った。

「ペーパーナイフかね?」美濃は笑った。

女は黙って二度も三度もうなずいた。そうして、エプロンの下から小さい銀のペーパーナイフをちらと覗かせてみせた。

「ペーパーナイフを盗むなんて、へんなやつだ。でも、綺麗だと思ったのなら仕様が無い。」

女の子は声を立てずに慟哭をはじめた。美濃は少し愉快になる。よい朝だと思った。

「母上がよくない。ろくに読めもしない洋書なんかを買い込んで、ただページを切って、それだけでお得意、たいへんなお道楽だ。