Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
こてんふう
古典風
Leggi 古典風 (こてんふう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.400 caratteri · 21 schermate
――こんな小説も、私は読みたい。(作者)
A
美濃十郎は、伯爵美濃英樹の嗣子である。二十八歳である。
一夜、美濃が酔いしれて帰宅したところ、家の中は、ざわめいている。さして気にもとめずに、廊下を歩いていって、母の居間のまえにさしかかった時、どなた、と中から声がした。母の声である。僕です、と明確に答えて、居間の障子をあけた。部屋には、母がひとり離れて坐っていて、それと向い合って、召使いのものが五、六人、部屋の一隅にひしとかたまって、坐っていた。
「なんです。」と美濃は立ったままで尋ねた。
母は言いにくそうに、
「あなたは、私のペーパーナイフなど、お知りでないだろうね。銀のが。なくなったんだがね。」
美濃は、いやな顔をした。
「存じて居ります。僕が頂戴いたしました。」
障子を閉めもせず、そのまま廊下をふらふら歩いていって、自分の寝室へはいった。ひどく酔っていた。上衣を脱いだだけで、ベッドに音高くからだをたたきつけ、それなり、眠ってしまった。
水を飲みたく、目があいた。夜が明けている。枕もとに小さい女の子がうつむいて立っていた。美濃は、だまっていた。