Classici giapponesi con furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Leggi 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 75.586 caratteri · 159 schermate
」
「もみじさんは焼けない中に強制疎開で取払いになったんだよ。」
「じゃ、御無事ですね。」
「暫くたよりがないけれど、今でも疎開先に御いでだろうよ。」
「どちらへ疎開なすったんです。」
「千葉県八幡。番地は家に書いたものがある筈だよ。お前さんの処をかいておくれよ。家へ帰ったら葉書で知らして上げよう。」
「八幡ですか。そんなら訳はありません。わたしは小岩の運送屋に働いていますから。」
新太郎は巻煙草の紙箱をちぎって居処をかいて渡した。奥様はそれを読みながら、
「新ちゃんだったね。すっかり商売替だね。景気はいいの。」
「とても能いんです。働こうと思ったら身体がいくつあっても足りません。皆さんにもどうぞ宜しく。」
新太郎は助手と共に身軽く車に飛び乗った。
* *
その日の仕事が暗くならない中に済んだ日を待ち、新太郎は所番地をたよりにもみじの疎開先を尋ねに行った。
省線の駅から国道へ出る角の巡査派出所できくと、鳥居前を京成電車が通っている八幡神社の松林を抜けて、溝川に沿うた道を四、五町行ったあたりだと教えられた。しかし行く道は平家の住宅、別荘らしい門構、茅葺の農家、畠と松林のあいだを勝手次第に曲るたびたびまたも同じような岐路へ入るので忽ち方角もわからなくなる。