Classici giapponesi con furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Leggi 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 75.586 caratteri · 159 schermate
老人
臼木は長年もと日本橋区内に在った或病院の会計をしていた時分から、株式相場にも手を出し、早くから相応に財産をつくっていたが、支那事変の始ったころ、年も六十近くなったので、葛飾区立石町に引込み、老妻に釣道具と雑貨とを売らせ、自分は裏畠に花や野菜を栽培したり、近くの中川や江戸川へ釣に出たりして老後の日を楽しく送っている。
忰が一人、娘が一人あったが、忰の方は出征すると間もなく戦死し、娘はそれより以前に結婚して下ノ関に在る良人の家に行ってしまったので、その後戦争が終った明る年の秋、老妻に死なれた時、臼木は全く孤独の身となった。年は六十七になっていた。
葬式の時には老妻の従妹に当るお近という産婆がその住んでいる甲府の町から、また下ノ関にいる娘常子というのが出て来て始末をしてくれたが、二人とも初七日の法事の済み次第帰ることになっていた。その日寺から戻って来て、三人夕飯の膳に向った時、
「では父さん。わたし達はあした帰りますよ。父さんはこれから先、どうなさるつもりなの。一人で困りゃしませんか。お店の番もしなければならないし。配給物も取りに行かなければならないでしょう。