Classici giapponesi con furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Leggi 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.485 caratteri · 93 schermate
服の衿元は無残にひき裂かれ、じかに白い肩があらわれていた。垂れさがった右手の肘のところから手の甲へ、生々しい血が縦に筋をひき、指の股までいって、そこからポタポタと舗石の上に滴り落ちた。
灰色の男たちは、一斉に竜太郎のほうへ振りかえったのち、左右からその娘を抱き上げるようにしながら、歩き出した。若い娘は、すっかり血の気をなくし、雲を踏むような足どりで二三歩歩いたが、舗道の端で石に躓いて、仰向けざまに倒れかかった。
その顔!
あの夜の少女……、エレアーナ王女の、その、面差だった!
何を思慮する暇もなかった。ひと飛びに車道をはね越え、手近の男の肩を掴むと、右手の拳が、したたかその顎を突き上げていた。その男は後さがりに二三歩よろめいてゆき、そこで踏み止まると、ほかの二人と鋭い断節音で、叫びかわしながら、猛然と竜太郎の方へ殺到してきた。
竜太郎は、真先に来たのを体当りで押しころがしておいて、二番目の、見上げるような大男の剣帯をギュッとひっ掴んだ。跳腰が見事にきまって、靴底を空へ向け、両足で孤をかきながら、車道の方へ落ちていった。
竜太郎は、精悍な表情で、ピッタリと石壁に背をつけ、ゆっくりとペン・ナイフの刃を起していた。