Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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へんなおとこ

変な男

豊島 与志雄

Leggi 変な男 (へんなおとこ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.508 caratteri · 81 schermate

Aozora Bunko

あんな図々しい人だから、明日まで待つと云い出すかも知れないわ。」

「まさか、そんな……。」

「そうでなくっても、もし不良書生の仲間だったらどうするの。」

「そんなこともないでしょうよ。」

「でも分りゃしないわ。」

澄子から説きつけられて、不安な眼付でじっと見られると、辰代の眼も、疑惑の色から不安の色に変ってきた。

「夕方になったら、何とか云って追い帰してしまいましょう。」

早口にそう云い捨てて、辰代はぷいと流し場の方へ下りて、娘に対する、また自分自身に対する、軽い腹立ちまぎれに、がちゃがちゃと用をし初めた。それを見て澄子は、またいつもの癖が初まったなという顔付で、そして素知らぬ風を装って、奥の室の隅っこへ行って、雑誌なんかを繰り拡げた。

所が澄子の杞憂は、それから一時間半もたたないうちに、意外なことのために打消されてしまった。

表の格子戸の音がして、何やら人声がするようだったので、辰代は一寸小首を傾げたが、濡手を拭きながら急いで出て行った。そして玄関の茶の間の入口に呆れたように立ち止った。その姿を見て、澄子も立っていった。先刻の学生が、玄関の障子を二尺ほど開いて、その向うに立っている誰かと対談しているのだった。