Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Leggi 夏の葬列 (なつのそうれつ) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 60.161 caratteri · 122 schermate

Aozora Bunko

「私、一人きりでいたかったの。私、このごろあなたと喧嘩すると、いつも一人っきりになりに行くの。……そうしてると、また元気が出てくるのよ」

妻は、真面目な目をしていた。

「……そりゃはじめは実家へ行ってグチもいったわ。でも、向うにも迷惑だし、相手だってやはり人間でしょう? かえってなにかと煩わしいことになっちゃうのよ。それで……」

「……信じない」

と、彼はいった。

「そんな、バカな、……一人きりで、なにをしていたんだ?」

「待っていたのよ」妻は答えた。「自分が、また元気を出してあなたとの生活にもどれるときがくるのを、じっと待っていたのよ」

「この寒いのに、飲み食いもせずにか?」

「そんなこと、ひとつもつらくなんかないわ。わかんない? 私はただ、一人っきりでいられればそれでいいのよ。それだけで、まるで酸素ボックスに入ったような気持ちで、すっかりのんびりとしちゃってるの。……でもね、男って、女が一人で同じ場所に立っていると、すごく気にするのね。バカねえ、わざわざなにもせず、なにも考えず、ほったらかしにされていたいためにそこにいるのに。……今日も一人、バカな奴がいたのよ。