Classici giapponesi con furigana
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
Leggi 夜の靴 (よるのくつ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.056 caratteri · 213 schermate
この荷物は無事に着く。」と私は云った。
「そうかしら、でも、一つ無くしてももう買えないものばかしですのよ。」
「いや、大丈夫だ。」
久左衛門が来た。そして妻にこう云う。
「せつの結婚式が明日なもので、急がしゅうて来れなんだが、何んでも、お前さんたち知らぬものに荷物を頼んだいうことだでのう。心配で見に来た。そんなことはせん方がええぞ。せっかく今までおれはお世話して来て無事だったのに、今になって危いことがあっては、おれも困るでのう。」
とにかく、急なことで一言の相談もせず荷を造ったことは、重重失礼したと妻は詫びを云った。私はまた彼にそんなことを云い出せば、せっかくの参右衛門の好意をもみ消しそうで、この二人の間に挟まれての行動は、目立たぬところでうるさいことの多かったのも、今までから度度感じていた。
「うまくいけば良いがのう。おれも知らん人間だぜ。大切な品物は出さん方がええ。参右衛門も知らん男だというから、どうしたことでそんなことするものかと思うて、それが心配での――」
たしかに久左衛門のいうことは道理である。このこととは限らず、私たちを彼はひどく愛してくれており、特に私に示してくれた彼の愛情にはなみならぬものがある。