Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Leggi 夜光虫 (やこうちゅう) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.871 caratteri · 134 schermate

Aozora Bunko

「珈琲か。飲んだことないけど、うまそうやな」

大きい方の次郎が云った。

「一ぺん飲みたいな。そやけど、あかんわ」

小さい方の三郎は悲しい顔もせずに、簡単に諦らめていた。

「なんぜあかんネん……?」

「きかんでも判ってるやないか。銭があらへん」

「不景気なことを云うな。なんぼ戦争に負けた云うたかテ、珈琲の味ぐらい覚えてもかめへんぞ。どや、おれが飲ましたろか。本物のブラジル珈琲やぞ」

豹吉が言うと、ブラジル珈琲とはどんなものか、二人にはまるで判らなかったが、びっくりしたような眼を、一層くるくるさせて、

「ほんまか、大将!」

十八の豹吉を大将と呼んだ。

「大将大将いうな。日本に大将なんかあるもんか。さア、二人とも道具かたづけて、おれの尻について来い」

やがて豹吉が南海通の方へ大股で歩き出すと、次郎と三郎は転げるようにしてチョコチョコついて来た。

南海通の波屋書房の二、三軒先き、千日前通へ出る手前の、もと出雲屋のあったところに、ハナヤという喫茶店が出来ていた。

ハナヤはもと千日前の弥生座の筋向いにあった店だが、焼けてしまったので、この場所へ新らしくバラックを建てたらしかった。