Classici giapponesi con furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Leggi 夜明け前 (よあけまえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.629 caratteri · 408 schermate
とにかく、わたしが出かけて行った時分と、今とじゃ、伊那も大違い。あの谷も騒がしい。」
寛斎は尻を持ち上げたかと思うとまた落ちつけ、煙草入れを腰に差したかと思うとまた取り出した。そこへお民も茶を勧めに来て、夫の方を見て、
「あなた、店座敷の方へ先生を御案内したら。お母さんもお目にかかりたいと言っていますに。」
「いや、そうしちゃいられません。」と寛斎は言った。「半蔵さんもお出かけになるところだ。わたしはこんなにお邪魔するつもりじゃなかった。きょうお寄りしたのはほかでもありませんが、実は無尽を思い立ちまして、上の伏見屋へも今寄って来ました。あの金兵衛さんにもお話しして来ました。半蔵さん、君にもぜひお骨折りを願いたい。」
「それはよろこんでいたしますよ。いずれ王滝から帰りました上で。」
「そうどころじゃない。あいにく香蔵も京都の方で、君にでもお骨折りを願うよりほかに相談相手がない。どうも男の年寄りというやつは具合の悪いもので、わたしも養子の厄介にはなりたくないと思うんです。これから中津川に落ちつくか、どうか、自分でも未定です。そうです、今ひと奮発です。ひょっとすると伊勢の国の方へ出かけることになるかもしれません。