Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おおとりものせんにんつぼ

大捕物仙人壺

国枝 史郎

Leggi 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.606 caratteri · 97 schermate

Aozora Bunko

元々気味の悪い老人から、偶然貰った手箱なのである。たいして惜しくも思わないのであった。それより彼女には義哉その人が、このもしくも愛しくも思われるのであった。

二人は尽きず話をした。

伊丹屋の養女だということや、許嫁が生地なしだということや、生活が退屈だということや、

――お錦はそんなことを問わず語りに話した。

「妾、近々伊丹屋の家を、出てしまうかもしれませんの」

「あなたが伊丹屋のお家を出て、一人住みでもなされたら、江戸中の若い男達は、相場を狂わせるでございましょうよ。……そうして貴女は江戸中の女から、妬まれることでございましょうよ」

「お口の悪い何を仰有るやら。……でもきっと貴郎様は、おさげすみなさるでございましょうね。そうしてもうもうお屋敷へなど、お寄せ付けなされはしますまいね」

「どう致しまして私など、こっちから日参いたします」

「まあ嬉しゅうございますこと、嘘にもそう云っていただけると、どんなに心強いことでしょう」

塀外を金魚売が通って行った。そのふれ声が聞えてきた。それは初夏の訪れであった。

後庭には藤が咲きかけてい、池の畔の燕子花も、紫の蕾を破ろうとしていた。