Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.962 caratteri · 145 schermate
いずこに動乱の象ありや、異国人の襲来ありや、とんとそれは煙も見えないのです。
いよいよ解せないことに思いつつ、この無人の境を、米友はなおもエンヤ、エンヤと、車を引いて行きました。
本来、大八車は代八車で、八人の男によって曳かるべきものか、そうでなければ、八人の男の代りに使用せられつつある器具ですから、後世の瀟洒たる荷車よりも、ズッと大柄に出来ていました。それを通常よりは甚だ小柄なる米友が引っぱって行く光景は、かなり可愛らしいものであります。
だが、車力はついに馳せ戻って来ないのです。この分では、それを期待することは覚束ない。
「ままよ、こうして名古屋まで伸しちまえ」
米友は大八車を引っぱることを、力に於ては、さして苦としませんから、このまま、ずるずるべったりに、目的地の名古屋城まで、車力に代ってやってもいいと思いました。
この時、米友の引っぱって行く車の後ろの方から一つ、飛ぶが如くに現われたものがあります。
今まで、米友以外には無人の境であったこのあたりに、右の一つが、その空気をかき飛ばしつつ進んで来るのは変っていました。前に向って一心に車を引いている米友には、その影もみえないし、おそらくその物音も聞えないに相違ないが、後ろの一つが、かえって前を行く米友の車に、一方ならぬ怪異を覚えたのでしょう。