Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.838 caratteri · 204 schermate
「うむ……」
と駒井が、急に返答をしないでいると、白雲が船頭に向って言いました、
「ムクを借りてどうしようというんだ」
「はい、ムクをお借り申しまして、マドロスの奴を追いかけてみてえと思って、殿様にさきほどお願え申してみたでございます。マドロスの野郎、思えば思うほど胸の悪くなる畜生だ、殿様の御恩も忘れやがって、わしどもを踏みつけにしやがって、どうしても腹が癒えねえから、ひとつ、ムクが帰ったらば、ムクをお借り申して、あいつのあとを追いかけて、とっ捕まえて、思うさまひとつ懲しめてやらねえことにゃ……」
船頭は、余憤堪え難き風情で、駒井へ直訴に来たものらしい。
ところが駒井は、いいとも悪いとも言いません。
つまり、うむ、では、直ぐに出かけてつかまえて来いとも言わないし、あんな奴は問題にするなとも言わないのは、駒井としてそこに若干の苦衷が存するものらしいことを、田山白雲も最初から感じていました。あのウスノロのマドロスめ、言語道断の奴ではあるが、船長としての駒井甚三郎が、その言語道断の奴を一刀両断にも為し難い――というのは、駒井甚三郎はその秀抜な頭脳を以て、最近の学術と、経験と、応用とを以て、一艘の船を独創したことは事実であるが、それを首尾よく運送して、初航海を無事にここまで安着せしめた成功の大半は、この放縦無頼のウスノロ