Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
弁信法師は、ソロソロと歩み出して、
「しかし、どちらに致しましても、忍の道は一つでございます、憤りを鎮めるの道は、忍の一字のほかにはあるものではございません、たとえ、大千世界を焼き亡ぼすの瞋恚の炎といえども、忍辱の二字が、それを消しとめて余りあるものではございます、どうぞ、お忍び下さいまし」
そこで、弁信はまた立ちどまって、方向の違った天の一角をながめました。ながめる形をしたのですから、天の一角に何があるか知れたものではありませんが、牛飼座あたりの星が一つ、真暗な天地に戸惑いをしたもののように、残されておりました。
「あらゆる戒行のうち、忍辱にまさる功徳は無いと釈尊も仰せになりました。それにもかかわらず、忍べないのは正観の智力が足りないからでございましょう、正しく物をみることの余裕を奪われたその瞬間から、憤怒の炎が吹き出して参るものでございます。雑念、妄想の世界を離れて、空無相の本体をごらんになれば、そこに怒るべき我もなく、怒りを移すべき人も無いはずではございませんか――」
弁信のひとり言は、ここで一段落になったけれども、言葉が終ると共に、弁信の鋭敏な頭のうちに、お銀様というものの姿がありありと現われました。