Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Leggi 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 319.771 caratteri · 617 schermate
の人は、この耳で物を聞くほかには聞けねえんだ、耳で聞けねえ音というものはありゃあしねえやな、ところが弁信さんときた日にぁ、耳がなくったって物が聞えるんだから大したものさ――弁信さんに逢っちゃあ敵わねえ」
とあっさり米友が甲を脱いだのは、この怖るべきお喋りの洪水にかかっては受けきれないからしての予防線ではないのです。事実、米友は、弁信の見えざる世界を見、聞えざる音声を聞くことのかんの神妙には降参している。
さればこそ、この不具者に先を譲って、自分が後陣を承って甘んじている。米友に言葉の上で甲を脱がせはしたが、さりとて弁信は少しも勝ち驕るの色を見せず、首の包物の結び目に手をかけながら、ちょっと米友を振返って、
「米友さん、提灯をつけましょうかねえ」
「提灯なんざあ要らねえよ、今も言う通り、今夜は月も星もねえけれど、イヤに明るい晩なんだ、おいらは提灯は要らねえ」
米友が提灯の必要なくして、道が歩けるくらいなら、まして況んや弁信をやです。ところが言い出した弁信は、更にその主張をゆるめることをしないで、
「いいえ、私共は要りませんにしても、向う様が――向う様がそそうをなさるといけません、向う様のお邪魔にならないまでも、無提灯で人里を歩くのは礼儀にかないません、つけて参りましょうよ、あの大谷風呂でお借りした提灯を――」