Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate

Aozora Bunko

しかし、この犬がまた追っても嚇しても容易に逃げないで、いよいよ米友の近くに飛びついて縋りついて来たがるというのが、よくよくの因果であります。

米友が棒を振り廻せば犬は心得てそれを避け、棒を控えていれば懲りずまたすぐに傍へ寄って来て、吠えてみたり、鼻を鳴らしてみたり、身体を擦りつけようとしてみたり、ずいぶん人を食った犬としか思われません。米友はばかばかしいやら腹が立つやらしてたまりません。

「狂犬だろう、打ち殺してくれべえぞ!」

打ったり払ったりするだけでは我慢がなり難くなったから米友は、殺気を含んで棒を振いました。その棒の下にあって犬はいっそう声高く吠えました。

「おや?」

米友は振り上げた棒を振り下ろすことなしに、この時ようやく犬の声音を聞き咎めました。犬は透かさずその米友の足許へ寄って来ました。

「待て待て、手前の声は聞いたことのあるような声だ。ムクじゃあねえか、ムク犬じゃあねえか」

犬はこのとき鼻息を荒くして、米友の腰へ絡みつきました。

「いま提灯をつけるから待っていろ、もし手前がムクだとすれば、俺らは嬉しくてたまらねえんだ」

米友の腰につけた小田原提灯は消えていましたけれど、幸いにこわれてはいませんでした。