Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate
「何が書いてあるのだ」
と五十嵐が尋ねました。
「スメルトクルース、つまり鎔坩のことだ、鉱物を鎔かす鎔坩のことを書いてある和蘭の原書だ」
と南条が説明しました。
「それはますます珍だ、ここの主人は洋行した鍛冶屋でもあるのか」
「こりゃあ高島先生のお弟子か或いは江川坦庵の門下であろう。それにしても今時こんな書物を、甲州の山の中で読んでいるというのが変っている」
南条は首を捻りながらその蘭書を開いてパラパラと二三葉飛ばして見ていました。これによって見れば、ともかくもこの南条は蘭書が読める人らしいのであります。五十嵐の方は覚束ないと見えて、本をひっくり返している南条の手元ばかりをながめていましたが、
「とにかく、火を熾そうではないか、そこに火鉢がある」
能登守が平常用ゆる大火鉢へ眼をうつしました。
「うむ」
南条の方は、まだ蘭書から眼をはなしません。五十嵐は立って火鉢のところへ来ました。そこにあったたきつけと炭とを利用して、
「ちょっと、燈火を借りるぜ」
卓子の上の裸蝋燭を取って火を焚きつけて、また元のところへ立てて置きました。
まもなく焚付の火が勢いよく燃え上ると、炭火もそれにつれて熾りはじめました。