Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate
お銀様はその臭いが何の臭いだか知りませんでしたけれど、むっと咽せかえるようになって、我知らず二足三足歩いて見ると、そこの地上にまた一つ、物の影があるのであります。
「人が倒れている」
お銀様はまさしくそこに倒れている人を見ました。その人が尋常に倒れているものでないことを直ぐに感づきました。怪我で倒れたのでもなし、病気で倒れたのでもないことに気がつきました。
「ああ、どうしよう、人が斬られている、殺されている!」
天地が遽かに暗くなって――暗いのは最初からのことだが、この時は腹の中まで暗くなりました。前後左右四方上下から、真黒な大鉄壁を以て、ひたひたと押えつけられるような心持になって眼がくらくらと眩んでしまいました。
けれども胸に抱いた子は、いよいよ固く抱いておりました。
幼な子を抱いて闇の中に立っていたお銀様の肩を、後ろから軽く叩いたものがあります。
「もし」
お銀様は愕然として我にかえりました。我にかえると共に慄え上りました。
「どなた」
お銀様の歯の根が合いませんでした。そこに頭巾を被って袴を穿いて立っているのは武士の姿であります。
「驚き召さるな、拙者は通りかかりの者……してそなたは?」