Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
部屋の中も、昔と違って、書籍や模型が雑然と散らかっているようなことはなく、眼にうつるものは床の間に二三挺の鉄砲と、刀架にある刀脇差と、柱にかかっている外套の着替と、一方の隅におしかたづけられている測量機械のようなものと、それと向き合った側の六畳に、机腰掛が、おとなしく主人の帰りを待っているのと、そのくらいのものです。
それでも、いま点けた蝋燭は、さすがに駒井式で、それは白くて光の強い西洋蝋燭であります。蝋燭を点けると、燭台ぐるみ手に取り上げた駒井甚三郎は、さっと窓の戸を押し開きました。窓の戸を開くと眼の下は海です。この洲崎の鼻から見ると、二つの海を見ることができます。そうして時とすると、その二つの海が千変万化するのを見ることもできます。二つの海というのは、内の海と外の洋とであります。内の海とは、今でいう東京湾のことで、それは、この洲崎と、相対する相州の三浦三崎とが外門を固めて、浪を穏かにして船を安くするのそれであります。外の洋というのは、亜米利加までつづく太平洋のことであります。ここの遠見の番所は、この二つの海を二頭立ての馬のように御してながめることのできる、絶好地点をえらんで立てられたものと見えます。