Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
ここにおいて米友は、たったいまお松の言った言葉を思い合せました。いま吠えた犬の声がムクであってみると、米友はそこに何か異常なる出来事が起ったことを想像しなければなりません。ムクに逢わざること久しい米友は、その異常なる出来事を、路傍のこととして閑却するわけにはゆかないのであります。
米友はその二声目を聞こうとして、両国橋の橋の手前へ現われました。目の前にやはり番所があります。小うるさい、また辻番かと思った米友は、ふと自分の手に持っている提灯を見ると、これだなと思いました。お松の手から受取った提灯を今更のように見廻すと、物々しい五七の桐の紋に初めて気がつきました。
ちょうどその時であります、行手の両国橋の上で、
「あれ――危ない」
という声。
柳の蔭へ槍を隠して橋を渡ろうとした米友は、この声を聞くと共に、その槍を押取って驀然に駈け出しました。
この時にあたっての米友は、もはや辻番の咎めを顧慮している遑がありません。隼のように両国橋の上を飛びました。その時分に、橋の真中のあたりの欄干から身を躍らして……川をめがけて飛び込んだものがあるらしい。
「助けて――」