Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
「そのことを言っているのじゃねえ……七兵衛、ちょっとその手拭を貸してくれ。爺さん、この手桶を、こっちへ出してくれねえか」
「へえへえ」
甘酒屋の親爺は言われるままに、柄杓の入った手桶を取って山崎の前へ提げて来ると、山崎譲は柄杓を右の手に取って、左の手で、七兵衛から借受けた手拭を、少し長目に丸めてザブリと水をかけ、さいぜん横目にながめていた二間梯子のところへ行って、それを右の手に抱え込んで、甲源一刀流の掛額のところに立てかけました。梯子を立てかけた山崎譲は、左手に濡手拭をさげたままでドシドシと梯子を上って行くから、
「旦那、何をなさるんでございます」
甘酒屋の親爺が仰天すると、梯子を一段だけ踏み残して上りつめていた山崎譲は、背伸びをして、その甲源一刀流の大額の、門弟席の初筆から三番目の張紙の上へ、グジャグジャに濡れていた手拭を叩きつけたから、
「先生、ナ、ナニをなさるんで」
七兵衛もまた、甘酒屋の老爺と同じように慌てました。
「この男をこうしておくのが癪にさわるんだ、開眼導師には、水戸の山崎譲ではちっと不足かも知れねえ」
濡らしておいた張紙をメリメリと引きめくると、その下に隠れていたまだ新しい木地の上に、ありありと現われたのはなるほど、机竜之助相馬なにがしの文字であります。