Classici giapponesi con furigana
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てんぽうのひこうじゅつ
天保の飛行術
野村 胡堂
Leggi 天保の飛行術 (てんぽうのひこうじゅつ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.024 caratteri · 28 schermate
「しっかりしてくれ、お通さん、傷は浅い」
「いえ、私はどうせ助ろうとは思わない――父さんにたったひと目逢いたいけれど」
「尤もだが、――」
お通の右の眼に浮ぶ涙を見ると、身を切られるようですが、この手負いを、御前平まで人目を忍んで運ぶ工夫はありません。
「いえ、それは諦らめました。――それよりは、清作さん、あなたは公儀の隠密」
「えッ」
「今死ぬ私に、隠すことはありません、お役目柄と知ってお話します。幸い私の心は落ち付いて、死際が近いせいか、気力も一段と加わって来ました」
お通の話しは長いものでした、が、それをかいつまむと――
お通の父は岡山の表具師幸吉で、享和の頃飛行具を発見し、人の作るまじきものを作ったという罪で故郷を追われ、流れ流れて加州へ入ったのは今から三十年も前のことです。
時の大守加賀中将斉広は大志があり、幸吉の才能をめでて飛行具を作らせましたが、次の斉泰卿の代になると、幕府の思惑を憚って老臣共がやかましく言い、白山の奥に研究所を設けて幸吉を監禁同様にし、役人に監視させて一般の入山を禁じてしまいました。
幸吉がまだ里に居る頃女房を娶って、一人の娘を生ませましたが、女房は間もなく死んで、娘のお通だけは二十三の今日まで、不思議に美しく賢く育ちました。