Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.902 caratteri · 22 schermate
「六郷様、どうなさいました」
酒の用意をして来た女中の後ろから、そっと顔を出したのは、モデル以来、御殿から此のお長屋へ、毎日通い慣れた腰元の多与里です。
「多与里殿か、御前体まことに散々であったよ、あれ程の凡作とは、鑿を取ったこの私も、陽の光りで見るまでは気が付かなかった」
左京は盃を取って、唇を濡らしました。
「あの、私のせいで――」
「いや、誰のせいでもない、この私の腕の鈍さだ、――おや、泣いていられるのか、多与里殿」
「いえ、あの」
灯の蔭に反けた顔のいじらしさ――この女にも、このような優しい半面があったのか知ら――六郷左京は新しい発見をしたような心持になりました。
「仕事はやり直しだ、前祝に一献参ろうか、多与里殿」
不躾け乍ら――といった調子で、左京は娘の方へ盃を差しました。
「あの、お酌いたしましょう」
銚子を取った白い華奢な手、俯向いた頬がサッと紅差して、妙に此娘を艶めかしく見せます。
「それは有難い、――長い間の辛抱であったが――拙者の技の拙さで、飛んだ恥を掻かせた喃」
「いえ、私のせいで――」
「いや、多与里殿の美しさは非の打ちどころは無い、――もう少し灯の傍へ――こう近う寄られるが宜い」